市街化調整区域の物件を民泊にする前に確認すること

市街化調整区域の物件を民泊にする前に確認すること

田園風景のなかに建つ築50年の古民家、土地300坪付きで500万円。郊外で一棟貸しの宿を始めたい人にとって、こうした物件は理想に近く見えます。ただ、販売資料の備考欄に「市街化調整区域」とあったら、価格の安さの理由の多くはそこにあると考えたほうがよいかもしれません。

市街化調整区域の物件は、住むことはできても、用途を変えることに制約がかかる場合があります。宿泊用途への転用を考えるなら、購入前に確認しておくべき論点が住宅とは別にあります。

市街化調整区域は「市街化を抑える区域」

都市計画区域は、大きく「市街化区域(市街化を進める区域)」と「市街化調整区域(市街化を抑える区域)」に分けられます。調整区域では、建物を新しく建てることだけでなく、既存の建物の用途を変えることにも、都市計画法上の許可が必要になる場合があります。

住宅を旅館・簡易宿所に変えるのは、まさにこの「用途の変更」にあたる可能性があります。旅館業の許可や建築基準法の手続きとは別に、都市計画法上の許可というもう1つの関門がある、と考えておくのが安全です。

一番見落としやすいのは「誰のために建てられた家か」

一次診断で調整区域の物件を見るとき、もっとも重視しているのが建築当時の許可の内容です。

調整区域の住宅には、農家の世帯員の住宅(いわゆる農家住宅)や、その土地に一定期間住んでいた人の分家住宅など、特定の人や用途を前提に許可されて建った建物が少なくありません。こうした建物は、

  • 別の人が住宅として使うだけでも許可が必要になる場合がある
  • まして宿泊用途への変更は、ハードルがさらに高くなる可能性がある

という性質を持っています。販売資料には「建築当時の許可内容」までは書かれていないことがほとんどで、売主自身も把握していないことがあります。

古民家活用の緩和運用がある自治体も

一方で、調整区域の古民家や空き家を観光・地域活性化に活用しやすくするため、国は開発許可制度の運用指針を見直しており、既存建築物を宿泊施設などに用途変更する場合の許可を、一定の条件で認めやすくする運用をとる自治体も出てきています。

条件は自治体によって異なり、「築年数が一定以上の古民家であること」「地域振興の計画に沿うこと」などが求められる例があります。つまり、同じ調整区域でも、自治体の方針次第で検討の余地が大きく変わるということです(運用の有無・条件は必ず自治体の最新情報で確認が必要です)。

失敗シナリオ:決済後に「この家は分家住宅です」と分かる

調整区域の古民家を「田舎の空き家はどこもこんなもの」と考えて購入し、旅館業の相談に保健所へ行ったところ、都市計画の担当窓口でも確認するよう言われたケースを想定します。

都市計画の窓口で調べてもらうと、その建物は分家住宅として許可されたもので、用途変更には許可が必要、しかもこの自治体には古民家活用の緩和運用がないと分かります。宿泊施設としての計画は進められず、住居として使うか、売却を検討するかの選択になります。調整区域の物件は買い手が限られやすいため、売却にも時間がかかる可能性がある点まで含めて、購入前に確認しておきたいところです。

買う前に確認したいこと

自治体の開発許可・都市計画担当窓口に

  • この建物は、どのような許可(または許可不要の扱い)で建てられたものか → 建物に属人的な条件が付いているかどうかが分かる
  • 住宅から旅館・簡易宿所への用途変更に、都市計画法上の許可は必要か。古民家等の活用に関する緩和運用はあるか → 宿泊用途への転用が検討の余地があるのか、前提から難しいのかが分かる

売主・仲介会社に

  • 建築当時の許可書類や、過去の用途変更の履歴は残っているか → 窓口での確認をスムーズに進める材料になる

まとめ

  • 販売資料に「市街化調整区域」とあれば、用途変更に都市計画法上の許可が要る可能性を前提に検討する
  • 建築当時の許可内容(農家住宅・分家住宅など)を自治体の窓口で確認する
  • 古民家活用の緩和運用があるかどうかで検討の余地が大きく変わるため、自治体ごとに確認する

無料・会員登録不要

この記事の物件、買う前に診断してみませんか?

物件ページのURLを貼るだけで、民泊・簡易宿所・貸別荘への転用可能性、初期費用リスク、購入前に確認すべき事項を無料で一次診断します。

  • 会員登録なしで今すぐ開始
  • URLを貼るだけ・約30秒
  • 初期費用リスクの目安を確認
  • 購入前に確認すべき論点を整理

関連記事