農地・山林付きの物件を民泊目的で買う前に確認すること

農地・山林付きの物件を民泊目的で買う前に確認すること

「古民家+畑200坪+裏山付きで380万円」。空き家バンクや田舎物件の専門サイトでは、こうしたセット売りの物件をよく見かけます。畑で収穫体験、裏山で焚き火。宿泊体験のコンテンツとしても魅力的です。

ただ、建物と一緒に売られている「畑」や「山」は、建物とは別のルールで扱われる土地です。購入前にここを分けて考えておかないと、「家は買えたのに畑は買えなかった」ということも起こりえます。

農地は、許可がないと買えない・変えられない

登記簿の地目が「田」「畑」の土地、あるいは現況が農地として使われている土地は、農地法の対象になります。一般的な考え方は次のとおりです。

  • 農地のまま取得する(3条許可):農業委員会の許可が必要。取得後に耕作を続けることなどが求められる
  • 農地を宅地や駐車場など別の用途に変えて取得する(5条許可):農地転用の許可が必要。農地の区分によっては、転用が原則として認められない場合もある

以前は、農地を取得するには一定の面積以上を耕作することが求められる「下限面積要件」がありましたが、2023年4月の法改正で廃止されました。これで小さな畑付きの物件は買いやすくなったと言われていますが、許可が不要になったわけではない点に注意が必要です(最新の運用は農業委員会で確認が必要です)。

建物と農地は「別の買い物」として考える

一次診断で農地付き物件を見るとき、まず勧めているのが建物部分と農地部分を分けて検討することです。

  • 建物と宅地:民泊・簡易宿所として検討できるかを、用途地域・消防・建築の観点で確認する
  • 農地:取得に許可が必要か、取得後に何に使えるかを、農業委員会で確認する

たとえば、畑を宿泊客の駐車場にしたい、グランピングのテントを張りたいと考えても、農地のままではそうした使い方はできない可能性があります。逆に、農地を外して建物と宅地だけを購入する交渉が成り立つ場合もあります。セットで売られているからといって、セットで買う必要があるとは限りません。

山林は「境界」と「管理」が論点

山林付きの物件では、法的な許可よりも境界と管理の負担が論点になりやすい傾向があります。

  • 境界が確定していない、隣接地の所有者が分からない山林は珍しくない
  • 宿泊客が立ち入る可能性があるなら、倒木や斜面の安全管理の責任が生じうる
  • 草刈りや枝払いの手間・費用は、面積に応じて毎年かかる

1,000㎡を超える山林は、所有者が自分で管理しきれず、作業を外注すると年に数万〜十数万円かかることも一つの目安として考えておきたいところです。

失敗シナリオ:決済直前に「畑は許可が下りるまで移転できない」と分かる

建物・宅地・畑をまとめて購入する契約を結び、決済の日程も決まったあとで、司法書士から「畑は農地法の許可がないと所有権移転の登記ができない」と指摘されたケースを想定します。

農業委員会への申請は月1回の締め切りで、許可まで1〜2か月かかると分かります。建物だけ先に引き渡しを受け、畑は許可待ちという状態になり、宿泊体験の目玉にしようとしていた「収穫体験」の準備も進められません。売主との契約で、農地部分の許可を条件とする特約を入れておけば、少なくとも段取りは組み直せたはずです。

買う前に確認したいこと

農業委員会に

  • 付属の土地のうち、農地法の対象になる部分はどこか。取得にはどの許可が必要で、どれくらいの期間がかかるか → 農地部分の取得の可否とスケジュールが分かる
  • 農地部分を駐車場や宿泊客の利用スペースにできる可能性はあるか → 宿泊事業に活用できるのか、農地として耕作を続ける前提なのかが分かる

売主・仲介会社に

  • 農地部分・山林部分を除いて、建物と宅地だけを購入することは可能か。山林の境界は確定しているか → 不要な土地を背負わずに済むか、境界トラブルのリスクがあるかが分かる

まとめ

  • 登記の地目と現況を確認し、農地法の対象になる土地を特定する
  • 建物・宅地と農地・山林を分けて、それぞれ使い道と許可の要否を確認する
  • セットで買う必要があるかを見直し、農地部分は許可を条件とする特約を検討する

無料・会員登録不要

この記事の物件、買う前に診断してみませんか?

物件ページのURLを貼るだけで、民泊・簡易宿所・貸別荘への転用可能性、初期費用リスク、購入前に確認すべき事項を無料で一次診断します。

  • 会員登録なしで今すぐ開始
  • URLを貼るだけ・約30秒
  • 初期費用リスクの目安を確認
  • 購入前に確認すべき論点を整理

関連記事